【Jazz Sax. Trumpet】Dexter Gordon Benny Bailey Quintet / Revelation (1974)

縦横無尽のベニーベイリーのトランペット

トラディショナルさと洗練が魅力のヨーロッパ・ジャズ

目まぐるしく変わる世界で変わらない、という選択肢もジャズの魅力

今回ご紹介するアルバム 『Dexter Gordon Benny Bailey Quintet / Revelation (1974)』は、サックスプレイヤー、デクスターゴードンとトランペッター、ベニーベイリーとのクインテット。

柔らかで滑らかなデクスターゴードンのプレイとベニーベイリーの鋭く力強いプレイの対比が非常に聴き応えのある作品です。

1974年11月スウェーデンで録音されたこのライブテイク。変化していく事に価値が置かれていたJazz。モードジャズ、フリージャズと目まぐるしく変化し、すっかり変わってしまったアメリカ。

そんな激動のアメリカから遠いヨーロッパの地で出会ったふたり。練り上げられた『変わらない良さ』にも価値があると証明してくれています。

Jazzが聴きたくて、メジャーなアーティストを聴いてみたけれど、何だか難しいなぁ、と思ってしまい、Jazzは自分には分からないと思っている方にも是非聴いていただきたいアルバムです。『これぞジャズ』を練り上げ続けたふたりの熱演が、時を超えて聴こえて来ます。

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半生をヨーロッパで過ごしたベニー・ベイリー

ベニー・ベイリー(1925年8月13日-2005年4月14日)は10代の頃からバンド活動を始め、ディジー・ガレスピー・ビッグ・バンド、ライオネル・ハンプトン楽団などを経て、渡欧しセッションミュージシャンとして活躍しました。

彼はは日本ではあまり知名度の高くないミュージシャンですが、Jazzのトランペット奏者の演奏を色々聴くにつれ、強くJazzの醍醐味を感じられるトランペッターのひとりで、しなる鞭の様な鋭さと力強い音色が魅力のトランペッターです。

太く甘いテナーサックスのダンディズム、デクスター・ゴードン

デクスターゴードン(1923年2月27日-1990年4月25日)は190cmを超える体格から繰り出される太く甘い音色が魅力のテナーサックスプレイヤーです。

ジャズの歴史を紐解くと彼は、ビバップの巨匠チャーリーパーカーとその後モードジャズの指標となったマイルスデイビスの間の世代で、ドラック中毒に苦しみ50年代の音楽活動をほとんど休止した後、復活を果たし渡欧しました。

60年代から70年代にかけて渡欧するジャズミュージシャンが多かったのは、進化することこそジャズ、と言わんばかりに日々変わり続けるアメリカでのジャズムーブメントから距離を置きたかったのかも知れません。

Personnel

Tenor Saxophone – Dexter Gordon

Trumpet – Benny Bailey

Bass – Torbjörn Hultcrantz

Drums – Jual Curtis

Piano – Lars Sjösten

おすすめ収録曲解説

オープニングチューン『At Ronnie’s』。ベニーベイリーのオリジナルであるこの曲は、ピアノのテーマが終わった後、静寂を切り裂く様にベニーベイリーのトランペットが響きます。このカタルシスの塊の様なオープニング。なめらかにデックスに渡されるソロのバトン。10分以上の演奏ですが、あっという間にふたりの世界に引き込まれて行きます。

あの日と変わらず、君を愛している。

2曲目の『Polkadots and Moonbeams』。ジョニーバーク作詞、ジミーヴァンヒューゼン作曲のこの曲ですが、『初めて出会った時、月明かりに照らされて、水玉模様のドレスで踊る君を、今でもあの時と変わらず愛しているよ』というラブソングです。

デクスターゴードンの甘いソロが奏でられ、うっとりソファに沈み込んで聴き入ってしまう頃に、次の曲『I Can’t Get Started』のベニーベイリーのエモーショナルなトランペット入れ替わります。この美しい対比がより一層楽曲の良さを引き出しています。

この曲は1936年ヴァーノンデューク作曲。バニーベリガンやビリーホリデイ、フランクシナトラなどのテイクが有名です。

酒とバラの日々

もうひとつ有名なスタンダード曲、『Days of Wine and Roses』。日本では『酒バラ』で親しまれている楽曲です。何度もグラミー映画音楽賞を受賞した作曲家 ヘンリーマンシーニ作曲、ジョニーマーサー 作詞の作なのですが、1962年公開の同名の映画『酒とバラの日々』のテーマ曲として制作されました。

酒を通じての出会いと、悲劇を描いた映画なのですが、ふたりの演奏は遠い良き日々を思う様なロマンチックな名演です。

全編に渡って繰り広げられる、同世代のふたりの名手によるプレイ。

経歴と共に振り返ると、変わらないことを選んだふたりが遠い異国の地で、会話する様にのびのびと演奏を楽しむ姿が見えてくる様ではないでしょうか。それではごゆっくりお楽しみ下さい。気に入って頂けたら幸いです。

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dexter gordon benny bailey quintet Art Work
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