【Rock】The Man Who Sold the World / David Bowie (1970)

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ロックモンスター、ジギースターダストの揺籠にして、ボウイのファースト・トランスフォーム

トム少佐の次なるアイコンを探して

1969年、アポロ11号の月面着陸で全世界が月を仰ぎ見ていたタイミングでリリースされた『Space Oddity (1969)』は当時の報道特番で使用され大ヒットを記録。

一躍スターダムに登り詰めたボウイですが、早くも次なる表現方法を模索していました。そして、たどり着いたのがどこか両性具有を思わせるこのドレス姿でソファに横たわるヴィジュアルだったのです。

サウンド面もそれまでのフォーク色を払拭し、ディストーションサウンドの効いたギターをフィーチャーしたバンドサウンドに大きく変貌を遂げます。

これより後に歴史的名盤と名高い『Ziggy Stardust(1972)』が生まれますが、この『The Man who Sold the World』は、本作から『Aladdin Sane(1973)』まで続く作品群、グラムロックという一時代の始まりを告げる名盤です。

ミックロンソンのレスポールカスタムが切り開く黄金時代

冒頭の『The Width of a Circle』から、印象的なギターフィードバックから幕を開ける本作。ギタリストには、ボウイをして『僕のジェフベックを見つけた』と言わしめたミックロンソン。

トップフィニッシュを剥いだナチュラルフィニッシュの1968年製 Les Paul Custom と Marshall、そして Tone Bender Fuzz の組み合わせから繰り出される、当時としては前例のないほどの強烈なディストーションサウンドが、本作が前作とは全く違うものだと知らしめてくれます。

今作の製作に当たって結成されたバンド『ハイプ』は紆余曲折を経て、ギタリストに Mick Ronson、ベーシストに Tony Visconti、ドラムに Mick “Woody” Woodmansey で録音をスタート。ムーグシンセプレイヤーの Ralph Mace を迎えてひと月ほどかけてロンドンにて録音されました。

後にこのバンドは、プロデューサーとして多忙になったトニーヴィスコンティの代わりにベーシストとして Trevor Bolder を加えて The Spiders from Mars として、ロックモンスター、Ziggy Stardust と共に世界を席巻するのです。

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プロデューサー、トニーヴィスコンティ。

ベーシストのトニーヴィスコンティは、この作品ではプロデューサーも担当しており、ボウイのグラム期のサウンドを大きく支えていくことになります。そして、T-REXLou Reed など数々のグラムロックの名盤のプロデュースから、音楽プロデューサーとしての地位を確立していきます。

トニーヴィスコンティはストリングスやピアノのアレンジに長け、ボウイの音楽をロックだけに留めない芸術性の高い作品へと昇華しました。

より深く自己の内面を発見するためのボウイの旅

前作でもどこか哲学的な印象の詩を歌うボウイでしたが、さらに深く、より自身の内面に深く潜り込む様な内容に変化していきます。

深く自己と向き合う様な作風は後のアーティストに大きな影響を与え、ロックを芸術の域に高めたと言っても過言ではありません。タイトルチューン、『The Man who Sold the World』は NirvanaMTVアンプラグド にて演奏されるなど、世代を超えた影響をロック史に与えました。

この後どんどん大きくなるグラムロックムーブメント。ピークに達したその時、ボウイはまた別の表現を求めて変容して行きます。しかしながら、『Space Oddity(1969)』で得たチャンスを、自らを大きく変える事で更に大きなものにした彼の姿勢は生涯変わることはなかったのです。

いかがでしたでしょうか。変わり続けることで、自分であり続けたボウイの最初のトランスフォーム。音楽だけではなく、彼の生涯にも興味を持っていただければ幸いです。

2020年5月26日現在 Amazon Prime Video にて視聴可能です。

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