手が小さくても大丈夫。ギターは必ずうまくなる。
理由は『ギターの音楽的構造』にあり
コード、スケールの構造から読み解くギターの可能性
よくお伺いするお悩みの中に、『ギターを始めてみたいけど、手が小さいから向いてないでしょうか』というご相談があります。
確かに手を使う楽器にとって、手の大きさはアドバンテージになりますが、手が小さい事はそれほどデメリットにはなりません。小さなお子さんならまだしも、10代後半からの、ある程度身体的に成熟しつつある方であれば、問題なくギターを弾くことが出来ます。
そこで今回は、手の小ささはギタープレイへのデメリットにならない理由を、ギターの音楽的構造、実際使用するコードやスケールとともにご案内します。
基本ギターコードは3フレット分に収まる
指を目一杯伸ばさなくても充分届く距離なんです。
ギターを弾く際には、コードプレイが必ず出てきます。基本となるローコードの基本フォームは1〜3フレットで押弦されるのですが、この基本ローコードは全て手を大きく広げなくても届く距離、フレット3つ分の間に収まっているのです。ギターのフレットは半音ずつの刻みで打たれており、3つ分は一音半となります。手が小さくても、決して届かない距離ではありません。
1番馴染みのあるCコードから見てみましょう。フレット3つ分の中に収まっているのがお分かりいただけますでしょうか。
そして、このフォームではC音(ド)とE音(ミ)、G音(ソ)しか鳴っていないのもお分かりいただると思います。
あまり指を広げなくてもコードが押さえられるように、ギターの各弦は完全4度(鍵盤でみるとドからファの距離)の音程でチューニングされます。
しかしギターのチューニングは、ひとりでコードとメロディを弾くために工夫され、3弦と2弦の音程は例外として長3度(鍵盤でみるとドからミの距離)と、他の弦の関係より半音少なくなっています。1弦と6弦の音をオクターブ違いの同じ音にするための措置で、これにより少ない指で6弦全てを鳴らし音圧を出すことが出来る様になっています。
その他のコードも同じく3フレット分で収まります。Aコードに関しては様々な押さえ方があるので指の指定はしていません。また、ほかのコードに関しても、押さえやすい指で構いませんのでゆっくり焦らず押さえてみましょう。
スケール表現も指を広げなくていい
4本の指に担当フレットを振り分ける
スケール表現、いわゆる単音メロディ弾きにおいても、指を大きく広げることなく、指4本を、隣り合ったフレットにそれぞれ担当させて上下することで表現出来ます。隣同士のフレットなら、難なく指が届くのではないでしょうか。
Cメジャースケールから見ていきましょう。
まず、ローポジションの5弦3フレットのC音から始めます。この時、2フレットは人差し指、3フレットは中指、4フレットは薬指、5フレットは小指に担当させます。
下記のダイアグラムでは、5弦3フレットの中指からのスタートになります。
この横の指の距離関係は、場所を変えても変わりません。
同じ音である、6弦の8フレットのC音から始めてドレミを弾いてみましょう。この時、7フレットが人差し指、8フレットは中指、9フレットは薬指、10フレットは小指を使うことで、全く指を広げず、全く手の横移動無しにCメジャースケールを弾くことが出来ます。
しっかり交通整理された指板上の音たち
いかがでしたでしょうか。この他にも、指を広げたフォームや、一音半の跳躍を必要とするスケールも存在しますが、ギターを楽しむ上では必須ではありません。一見広大に見えるギターの指板面は、実はこんなに整理された音楽的構造を持っているのです。
ギターを弾いていく事によって自然と指の可動域は広がっていきますので、指を大きく広げるフォームも自然と弾けるようになります。
手が小さいから、とギターを諦めてしまわずに、まずリラックスしてギターに手を委ねてみましょう。みなさんのギターライフがより良いものになりましたら幸いです。