理想のトーンを求めて。果てしない旅のはじまり。
あなたのサウンドを劇的に変えるエフェクターという魔法
ギタリストを魅了するエフェクターの世界
ギターとアンプその他最低限のセットが揃い、少しずつギターが楽しくなって来ると、次に気になって来るのが自分の出しているサウンドではないでしょうか。
アーティストの音を聴いていると、すごくかっこいいサウンドなのに、同じ様な音が出ない。
音源化されているアーティストのプレイは、ミックスやマスタリングという加工を経て綿密にプロダクションされたサウンドですし、ライブ音源も同様です。
しかしながら現在ではエフェクターの進化により自宅レベルで同クオリティのサウンドが出せる様になって来ました。
コンパクトエフェクターで基本を学ぶ
エフェクター最終形態はハイエンドギタープロセッサ
ハイエンドギタープロセッサと呼ばれる機材は、非常に高額となっており30〜40万円ほど。ただし使いこなすにはエフェクターやアンプ、レコーディングなどの基礎知識も必要となります。豊富なプリセットがあり、プロ現場で使われるデータを手に入れれば完全にプロのサウンドを再現出来ますが、更に深くサウンドを知るには基礎知識が必須となります。
現在では、そう言ったハイエンドなモデルのフルスペックな機能をオミットし、手頃ながらハイクオリティなサウンドを持つコンパクトなモデルもリリースされており、プロクオリティのサウンドは非常に身近なものとなりました。
エフェクター未経験の方は、サウンドメイクの第一歩として、コンパクトエフェクターと呼ばれる単一機能のエフェクターを通して、基礎的な使用方法を身につけていくと、こうした機材もより深く理解して使いこなすことが出来る様になります。
まずは『歪み系』エフェクターを。
オーバードライブ & ディストーション
オーバードライブ、ディストーションと呼ばれる『歪み系』エフェクターですが、ギタリストの要望に応じて凄まじい数の種類がリリースされています。
クリーントーンと歪みのトーンオプションを得る
歪み系エフェクターの1番のメリットはアンプのクリーントーンと、エフェクターの歪みとで、足元で瞬時にふたつの音色を切り替えられる様になることです。
エレキギターにおける歪みのトーンは、質が変わればおのずとプレイスタイルも変わってしまうほどで、エレキギターのサウンドメイクにおいて1番重要な要素のひとつとなります。
歪み系のエフェクターを手に入れることで、エフェクターで歪みを作る事が出来、アンプが変わっても安定した歪み感を得られますので、最初に手に入れるのは『歪み系』が良いでしょう。
オーバードライブとディストーションの違い
オーバードライブとディストーションに関しては明確な定義がない分類ですが、一般的にあまり歪まないナチュラルなものをオーバードライブ、しっかり歪みが作れるものをディストーションと呼びます。
オーバードライブとは
オーバードライブとは、本来クリーンで出力されるはずのサウンドが、アンプに過負荷がかかり(オーバードライブ)歪んでしまった状態を指します。
エリッククラプトンがブルースブレイカーズで使用したMarshall 1962 JTM “Bluesbraker” と Les Paul の組み合わせで出されたトーンは当時衝撃を呼びましたが、クリーンサウンドで設計された真空管のアンプに過負荷をかけオーバードライブサウンドを得るためには相当な音量を必要としたため、音量を必要とせずオーバードライブサウンドを得るために、ファズなど、こぞって歪み系のペダルが作られました。
初心者にとっての良い歪みエフェクターとは
初心者にとっての良い歪み系ペダルは、歪みの幅が広く、なおかつ2つ目のペダルを手に入れた時にもオプションとして使える汎用性があるコストパフォーマンスの高さが挙げられます。
加えて、最初に選ぶには使いやすさも大きなポイントとなります。歪み系ペダルはトレンドの入れ替わりが激しく、次々と新しい製品がリリースされていますが、変わらず定番として愛されているものには安定したパフォーマンスが期待出来ます。
以上の要件を備えながら、今回はリーズナブルな価格、1万円前後で選べる定番の歪みエフェクターをいくつかご紹介します。
予算1万円で選べる定番歪みペダル
BOSS OD-3 Over Drive
ナチュラルな歪みからリードトーンまでカバーする定番中の定番
オーバードライブの名器 BOSS OD-1 を基に、レンジの広いトーンと更なるゲインを得られるデュアル・オーバードライブ・ステージ回路を備えた OD-3 は様々なスタイルにフィットします。クランチトーンでのカッティングプレイからきめ細かく伸びやかなリードトーンまでカバーする幅広さが魅力です。
クセのないトーンの効きと歪みの質感から、セカンドペダルとしてブースター的用途でも活躍しますので、今後メインの歪みが変わってもペダルボードで活躍します。ベストセラーのオーバードライブで、使ったことがないギタリストはあまりいないのではないでしょうか。
BOSS BD-2 Blues Driver
ほどよくザラついたダーティなサウンドが魅力のオーバードライブ
もうひとつの定番として、BD-2 Blues Driver がありますが、OD-3と比べて少しザラついた質感の歪みで、歪みの深さはほぼ同等です。名前の通りブルースなど少しサウンドにダーティさが必要なジャンルや、エッジの効いたコードワーク主体のプレイなどに向いています。
こちらもブースターとしても良く使用されるので、セカンドペダルとしても優秀です。リリース当時こぞってプロアーティストが導入したことから人気が爆発し、ロングセラーになったオーバードライブペダルです。
Proco RAT 2
定番ディストーションはフィルターノブが肝
定番として良く紹介されるRATですが、上記の2つと違い、ボリュームとゲインのほかにフィルターのノブがあるのが特徴です。
BOSSのペダルとはトーンノブの効きが逆
BOSSのペダルは全てのノブを12時に合わせると設計時に狙ったサウンドが得られる様な作られており、時計回りに明るいサウンドになる設計ですが、RATはフィルターつまみを絞り切った状態(反時計回り)が最も明るい音色になります。
BOSSのペダルと同じように12時始まりでセッティングを始めると狙ったディストーションサウンドが得られにくいので、絞り切った状態からサウンドを整えていく感覚でサウンドメイクしましょう。
フィルターノブの特性を利用して、ゲインを絞りクリーンに近いサウンドでジャズで利用するギタリストも多く、万能なペダルではないものの使用ギタリストの多いペダルです。
Ibanez TS-9 Tube Screamer
ギターの旨味を引き出す定番オーバードライブ
定番のオーバードライブとして人気が高いチューブスクリーマー。前述のものと比べてゲインはあまり高くなく、ブルースなどのクランチトーンに最適です。
エフェクトオン時にギターのサウンドレンジが絞られてエレキギターの美味しい部分がグッと凝縮される様なトーンになることから、アンプを充分ドライブさせてリードプレイ時にゲインを上げるゲインブースターとしてハードロックやメタルなどでも良く使用されています。
歪みペダルを選ぶポイント
エフェクターのみで歪みを作るか否か
オーバードライブ&ディストーションの歪みペダルを選ぶ際にまず確認するべきポイントは、歪みのあるアンプの補助としての使用方法か、アンプに依存せずエフェクターのみで歪みを作る使用方法か、です。
今回ご紹介したものより深く歪むペダルもたくさんリリースされていますが、まず定番を選ぶことで今後のシステム拡張の際にオプションが増えますので、どれかひとつは持っておきたいところです。
コンパクトエフェクターは筐体のデザインも豊富で、コレクタブルなアイテムでもあります。プレイするジャンル毎に使い分ける楽しさもありますので、是非試してみて、お気に入りのペダルを見つけて下さい。日々のプレイがより良いものになれば幸いです。