ジャズギターの若き天才が贈るエレクトリック・ジャズ・ブルース。
テレキャスターとアンプ、というシンプルなセットから繰り出される美しいノクターン。
様々なジャンルとのクロスオーバーを果たしながら進化していくジャズギター。プレイヤーとしての挑戦に溢れた難解な作品が多いなかで、楽器や音楽が本来持っている魅力を感じさせてくれる作品も数多くリリースされています。
今回ご紹介する『Arclight / Julian Lage (2016)』は、通称ブラックガードと呼ばれる、Fender社のエレキギター、テレキャスター(Youtube などで確認出来るテレキャスターは、ヘッドにFenderロゴはなく、Nacho Guitars 製かと思われる)とアンプを用い、ギターとベース、ドラムというシンプルなトリオ編成ながら、心地良く音に身を委ねることの出来るサウンド。
ジャズに馴染みのない方でも、シンプルながら美しいアンサンブルを楽しんでいただける作品です。
早熟の天才ギタリスト、ジュリアンレイジ。
1988年生まれのジュリアン・レイジ(ジュリアン・ラージ)は、5歳でギターを始め、8歳になるころにはメキメキと実力をつけ、短編ドキュメンタリー映画『Jules at Eight(1996)』の主題になるほど注目されました。
12歳の時、2000年グラミー賞授賞式にて演奏するなど、神童として話題を集めていたジュリアンは2003年、ヴィブラフォンの第一人者である ゲイリー・バートンの『Generations』に参加、続く2005年の『Next Generations』に参加し、自身の楽曲を提供するなど、高い評価を得て行きました。
その後、バークリー音楽大学などで音楽を学んだ後、2009年のアルバム『Sounding Point』でデビューを果たします。その後様々なプロジェクトに参加しながら、現代ジャズギターの重要人物としての評価を不動のものとしていきます。
目指したのは『ビバップ以前』のジャズ
モダンジャズギターの若き旗手として活躍していたジュリアンですが、20年代、30年代のビバップ以前のジャズを探求したい、という思いと、ジュリアンが子供の頃から愛しているエレクトリックギターへの思いを、テレキャスターとシンプルなトリオ編成にて結実させたのが本作。
ビバップ以前のジャズの名曲と、自身のオリジナル曲を織り交ぜながら、美しくもメロウでロマンチックな作品としてまとまっています。
本作は、ジュリアンをジャズギタリストの枠に収まらない、ギターの表現者としてのターニングポイントとなる素晴らしい仕上がりになっています。気に入っていただけましたら幸いです。
Julian Lage / Arclight 収録曲
括弧書きのない曲はジュリアン・レイジのオリジナル曲。その他の曲は、オリジナルをご紹介します。聴き比べてみると、より作品をお楽しみいただけると思います。